夢の海

――すべてうつろうその果てに――

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

光を集めて

光を集めて


傾いた日差しが、真横から、名残の葉を射る。

寂しくなった枝に、数枚残った葉は、
すべての光を一身に集めようとするかのように、
まぶしく輝く。

発光しているかのように、
まぶしく輝く。

スポンサーサイト

PageTop

カリスマ主婦の本を読んで

カリスマ主婦として有名で、お料理の紹介や暮らしのアイディアを紹介なさっている方の本を見つけたので、読んでみました。
藤野真紀子さんの「エレガントに暮らす」という本です。
表紙の写真を拝見すると、書かれた年はだいぶ前のようです。

いろいろと勉強になる本でした。
駐在員の妻としてニューヨークやパリに暮らしたときに出会った人や場面を語りながら、本当のエレガンスとはどういうことかを解き明かしていきます。
今ではあちこちで語られる意見もあったり、今では外国における日本人の行動も変わったところもあったりすると思いますが、だからといってその意見が古いものになったわけではありません。
実践できたら素晴らしいでしょうけど、なかなか難しそうだ、と思いながらも、納得して読みました。

この本の中で、著者はご自分のお母さまとおばあさまへの尊敬の念を、何度か語っています。
お母さまもお祖母さまも専業主婦だったそうで、素晴らしい専業主婦人生を全うされたことが分かりました。

この部分はなんとなくわたしを立ち止まらせました。
本の内容とはあまり関係のない、わたし個人の思い出や思いがわきあがってきたからです。

わたしの母にも祖母にも、何十年もの人生には当然浮き沈みや苦労があって、その苦労は大変だったろうとも思うし、よく乗り越えてきたとも思います。
でもわたしにとっての母や祖母は、憧れというものではありません。
もう少し等身大な感情で、たぶん今後も、「あのときの母はこうだったのか」と理解することはあっても、憧れることはないように思います。
祖母についても同じで、今より昔のほうが少しばかり尊敬の念があった気がしますが、たぶん今後は尊敬というより共感や理解の方に向くと思います。

祖母に対しては、少なくとも以前は、母に対するよりも尊敬の気持ちがあったということを考えると、それは距離――近さに関係しているのかもしれないと思います。

特に母には、子供たちに弱いところをなるべく見せずに毅然としている、という余裕はなかったからではないかと思うのです。
祖母のほうが、年代が離れているだけに、一番苦労したときは直接見ていないので、なんとなく「尊敬」のようなものを抱いていたのかもしれません。
「尊敬」って、あまり近すぎるとできない気がします。
――近いというのは、仲良しとか共感できるとか、そういうことではなく、自分の位置と同じような位置、同じようなレベルという意味です。
でもそれは、わたしが年をとったからかもしれません。
10年前だったらもっと遠かったのかも・・・・・・

そして、だからどうということではないのですが、母も祖母も「専業主婦を全うした」人ではないので、そういえばわたしは真実専業主婦らしい専業主婦を身近に知らないのだと思いました。
わたしの家では、母が専業主婦になることなど考えられないという空気が流れていました。
子供たちはそのことで自然に「うちはお金持ちではないんだ」と感じましたし、母はどう見ても生きがいや社会参加のために働いているふうではありませんでした。
祖母もかつては同じように、働かざるを得ない母親だったのです。
孫のわたしたちはその姿を直接見てはいませんが、祖母は専業主婦を全うした人ではありません。

だから不幸だったというのではなく、だから著者が羨ましいというのでもなく、とにかく事実として「自分の家は違ったなぁ」と思わされたのでした。

なんだか本を読んで、自分の子供の頃をあれこれ思いました。

わたしにもし子供がいたとしても、わたしは子供に憧れの気持ちを起こさせる母親にはならないだろうとも思いました。
いい、悪いではなくて――、とにかくそうなるだろう、と思いました――

PageTop

晩秋の枝

晩秋の枝


もう秋も終わりを告げるのです。
冬にとってかわられる時が来ているのです。

新しい葉を迎えるためには、古い葉は落ちなければならないのです。
再生を迎えるためには、まず消えなければならないのです。

春までは待てないのです。
始まりは、芽吹きと共にあるのではなく、無と共にあるのです。

だから今が終わりの時なのです。
ひと月後は、次の世代の始まりの時なのです。

PageTop

シンプルライフ

友達だけれど、その華麗な経歴には憧れていた彼女が、今は潔いアルバイト生活をしている。
知識や資格が必要で、だから派遣OLになっても高い賃金をもらえるという仕事を続けてきた彼女。
でも彼女自身は、その仕事をもう続けたくないと言う。
疲れてしまったから、給料が安くてもいい、ひっそり働いて静かに生きたいと言う。

もうアルバイト生活は1年を超えた。

「今の生活に満足しているからさ、クビにならなきゃいいな、と思ってるのよ」
――クビにはならないでしょ?
「分からない。景気とか会社の経営とかいろんなことで、店の統合なんかもあるしさ」

「時給はすごく高いわけじゃないけど、もっと安いとこもあるし。
生活していければいいと思ってるんだ」
――その業種としては悪くない時給だよね。
「楽に生活はできないよ。でもなんとかやっていければいいと思ってる。
お昼は社食が安いし、お弁当を作ることも多いし、夜はたいてい自炊してるしね」

「前の資格学校時代の友達とは、ほとんど連絡をとってない。
皆が勉強したことを活かして仕事してる話なんて、聞きたくないからさ」
――聞いたら気になるもんね。
「あの人がどうしてるとか、こういうふうに頑張ってるなんて聞いて、
自分は何もしてないって落ち込んだりしたくないし」
――でもさびしくならない?
「落ち込んだり、気になって眠れなかったりするより、いいよ」

「その前の会社時代の友達とも、ほとんど連絡をとってない。
今でもときどき会うのは一人か二人。
今の給料じゃ、高いお店とかに何回もつきあってられないからさ。
ちょっと気に入ってた人に彼女ができたりしたら、そんなのも聞きたくないし」
――分かる。わたしもあなたと知り合った最初の頃は、思った。
皆こんなに高いお店を使ってたんだ、って。今では慣れたけど。

「今の職場でも親しい友達って、そんなに作ってないよ。
休憩のときもずっと一緒にいたりしないしさ。
ちょっと仲良くなりかけた子がいたけど、
仕事を辞めてから家に呼んでくれたりして、
そこまではしたくないと思って、あるとき断ったらそれきりになった。
でもいいんだ。
何回も出かけたりするお金もないしさ、家でのんびりもしたいしさ。
彼女の家に手土産買って交通費かけて行くくらいなら、
他にもっと会いたい友達がいるしさ。
別に何もしてないから、用事があるの?って言われたらないんだけど、
でも休みの日とかはゆっくり洗濯したり、好きなDVD見たり、のんびりしたいし」
――わたしも、職場が同じ人とプライベートにまで出かけるのは、好きじゃない。
毎日のように会ってるのに、どうして夜や休日まで一緒に過ごさなきゃならないのって思う。
お昼をいくらでも一緒に食べられるじゃない、って。
「それ、すごくよく分かる」

彼女は潔い。
いらないものを切り捨てていく。

あっさりと、とは言わない。
友達だった人とだんだん離れていって、残念だと思うこともあるかもしれない。
本当は皆の近況を聞きたいけど、でもやっぱり知りたくないという葛藤もあるかもしれない。

でも迷いながらも、悩みながらも、いらないものを切り捨てていく。

あの年でそんなふうに生きていこうと思えるなんて、潔いと思う。
わたしも思うけれど、実行には移せないから。
中途半端に切り捨てたり、また求めたりしてしまう・・・・・・

PageTop

秋の山

秋の山


里の秋、山の秋。
道の秋、野の秋。
川の秋、空の秋。

町にも秋は来る。
家々の花壇にも、都会の公園にも。

見たことはないけれど、海にもきっと。

PageTop

小さなお店

かつてわたしが20代の頃に一緒に働いていたベテラン社員さんは、言っていた。

――あたしはいろんな事情を乗り切って結婚したときが、人生の花だったわよ。
それからおじいちゃんを説得して、うちをアパート経営にしたときが二度目の花ね。
この辺りもどんどん人が増えて、マンションやアパートが増えたからさ。
絶対アパートにしたほうがいいって、おじいちゃんを説得したのよね。

――あともうひと花、咲かせたいと思ってるのよ。小さな花でいいからさ。

わたしがこの職場を去った後も、ずっと定年まで働いたベテラン社員さん。
そして定年後も嘱託となって働いたと風の噂で聞いた。

ずっとずっと何年も後、偶然当時の知り合いに出会って、その後の噂を聞いた。

「××さん、うどん屋さんを始めたのよ。おうちの二階で、息子さんと一緒に」
「息子さん、勤めていた会社を辞めたんですか?」
「そうなの。前に二階にお好み焼き屋さんとかが入ってたでしょ。あそこが空いてたから」

うどん屋さんは昼間だけ営業。
もう仕事を引退したベテラン社員さんは、あくせくお金を稼ぐことはしなくていいと思ったのだ。
一日の販売分が終わったら終了してしまう。
つゆの味は自分の好みにこだわり、うどんのほうはそれほどこだわっていないのだとか。

儲けを必死で考える必要もなくなったときに、やりたいお店を好きなように開く。
それは楽しいことかもしれない、と思った。



かつてわたしが30代の頃に上司だった女性は言っていた。

――退職したら、家の近くで小さなカレー屋さんをやりたいの。
おいしい欧風カレーを出すのよ。
デザートにちっちゃいチョコレートケーキを出してね。

「チョコレートケーキですか?」

――そうよ。××屋さんのカレーって食べたことある?
あそこはね、カレーの後にデザートとしてチョコレートケーキが出てくるの。
それが合うのよ!
もちろんあたしはちっちゃいのを出すつもりなのよ? ひと口くらい。
カレーの後にちょっと口直しに、しっとりしたチョコケーキ。

――儲けなんて考えなくてもいいの。赤字にならない程度なら。
楽しみのためにやりたいの。
おいしい欧風カレーを出して、最後にちょっと、小さいチョコケーキを出して。
そういうお店をやってみたいの。
でもうちの近所じゃ、難しいかもしれないわ。

その人はまだ会社で働いていて、お店を出してもいないし、出す計画も立てていない。
その後この話を聞いたことはないけれど、あのときはとても楽しそうだった。

自分が出したいものを出す、好きなように経営する、小さなお店。
それは楽しい夢なのかもしれない。

PageTop

残り葉

残り葉


秋の澄んだ空に残る葉、ひとつ。

秋の高い空に揺れる葉、ふたつ。

PageTop

好きな人

神楽坂の人気店に行ったら、隅の方の小さなテーブルを指定された。
もっと早くに予約しておかなかったから、この荷物置きみたいなテーブルしか空いていなかったのだ。

スペイン料理をお洒落に食べさせてくれるお店、ということで、店内は女性客が多かった。

独身のS.Aさんと既婚者で二人のお子さんがいるS.Aさん。
イニシャルにすると同じになってしまう女性二人とわたしの、三人。

SingleS:Yさんはさ、素敵な人を見つけるのがうまいよね。私はなかなか「この人いいな」って思わない。思うことが大事だよね。
Y(=I):でもそれは、わたしが既婚者で、今さら真剣につきあうことはないからかも。この人と結婚するとか、つきあうとか考えると、やっぱり基準が厳しくなるよね。わたしは今は「××さんかっこいいね~」って言っているだけで、何か行動を起こすつもりもないから気軽に「素敵」とか「好き」って言えるんだと思う。
SingleS:そっかー。それもあるよね。

――それに、もうひとつ。
相手の気持ちを考える必要がないから、気楽に「素敵」「好み」と言える。
「あの人、素敵ね。私の好み」と若くて独身の女性が言ったら、その言葉は重みを持つ。
だから相手側は迷惑に感じるということもある。
そこまで行かなくても、まったく脈なしで、相手の方は他の子ばかり「あの子いいね」「あの子が好き」って言っていたら、自分がちょっと惨め。
でも既婚者だったら、相手と何かしたいわけではないから、彼の方は自分に一切興味がなくたって平気。
「こっちも何かしたいわけじゃないしー」と思えるので、悲しい気持ちになることもない。

SingleS:今行ってる仕事には素敵な人はいないの?
Y(=I):実はいるの。××さんていう人。優しいから派遣は皆、××さんが好き。
SingleS:やっぱりいるんだー! すごいなー、その積極性!
Y(=I):素敵な人を見てドキドキするのって、自分が潤う気がするからいいよね。結婚してから、素敵な人を素敵って思うのが気楽にできるようになった。付き合いたいってわけじゃないから、こっちも構えないし、相手も構えないし。
MarriedS:それってさ、大事だよね! やっぱりちゃんと女性ホルモン出しとかないと、お肌もくすんでいくしさ。気持も張りがなくなっていくしさ。そういう気持ちって大事だよね! でも絶対、何かしちゃいけないんだよね。「いいなぁ」ってとこで留めとかないと。

・・・・・・・・・・・・

Y(=I):SingleSさんの好みの人ってどんなタイプ? そんなに出会うの難しいの?
SingleS:そんなこともないと思うんだけど。

・・・・・・・・・・・・

MarriedS:でもさ、絶対一線を越えちゃダメなのよ。どんなに素敵だな~、好きだな~って思っても、何かしちゃダメ。でないと「子供二人抱えて大変なんですぅ~」って言いながらお酌することになっちゃうのよ。
Y(=I):お酌? スナックとかそういうところで?
MarriedS:そう。

・・・・・・・・・・・・

MarriedS:今の会社にはさ、いい人いないの?
SingleS:なぁんかねぇ。特にいないんだよねぇ。

・・・・・・・・・・・・

MarriedS:でもさ、やっぱりさ、やっちゃったらダメだよね。でないと「子供二人育ててるから、大変なんですぅ~」とか言ってお酌してるんだよ。

――人には何かを自分に言い聞かせている時期というものがある。
熱が冷めてしまえばどうということもないことだけれど、冷めないうちは気持ちを持て余すことがある。
それはとってもよく分かる。

夫婦はきっと、お互いそういうことを乗り越えている。

PageTop

秋の薔薇

秋の薔薇


同じように美しく、同じように高貴に、
同じ色の花弁を開いても、秋のバラは春とは違う。

花そのものが、違うから?
それとも、花を輝かせる日差しが、秋の光だから?

PageTop
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。