夢の海

――すべてうつろうその果てに――

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

フランシス・ジャムの祈り

 フランシス・ジャムの詩を読んでいた。「神を讃えるための祈り」
 ジャムはこう祈る。
「神さま、ぼくの心を鎮めてください、このあわれな心を。」

  静けさが、ひとしずくすべての上に
  水のようにひろがるこの夏の日に、

 どんな夏か、目の前に開けてくるような言葉。

  静まりかえった真昼時、
  蝉が松の木に鳴きつくす。
  そして、真紅の青空のきらめきのなかに
  無花果の葉だけが、色濃く涼しげに茂っている。

 ジャムの詩は、欧州の森をイメージさせるものが多い。彼の詩は高く評価され、パリに出てくるよう誘われても故郷の田舎に留まった。彼の詩はいつも森を思わせる。

  陽の光にきらめくのは コップの中の井戸の水。

  おお、愛する人よ、それは青い酷暑の八月。
  疲れて、あなたは黄楊の裁縫箱の上に
きらりと光る鋏を置いて、
  椅子にぐったりとよりかかるだろう。
  あなたが藤色の目に睫毛を閉じると、
  夏が部屋のなかに薫りはじめるだろう。

 薫る緑、薫る花、薫る大気、光る空。
 地では農夫が労苦にあえいでいるかもしれないけれど、それでもなお田舎は美しい。
 あまり暑くて、なんだか現実離れしたような気がするときは、いっそ今の自分の現実から程遠い、昔の詩でも読んでみるといいかもしれない。

スポンサーサイト

PageTop

名残の夏

名残の夏


8月に入れば、秋への秒読みは密かに始まっている。

8月も終わりになれば、もう夏ではなくて、夏の名残り。

PageTop

夏の花

 夏は鮮やかな色の花が咲く。
 黄色も橙色も蒼も赤もピンクも、濃く鮮やかに染まる。
 ニチニチソウが道路沿いの花壇に咲く。道路沿いの家々にも咲く。
 マツバボタンがどこにでも咲いている。花壇にも、砂利が敷き詰められた庭にも、どこかの家の塀の外にも、撒かれた種も、こぼれた種も。
 今はあまり見なくなったノウゼンカズラ。ときどき軒先や庭の花棚から垂れ下がってオレンジの花を咲かせている。
 ムクゲは思わぬところに生えている。いたるところに花を見かける。
 サルスベリが可愛らしいフリルの花を咲かせ、夏にしかないような濃いピンク色に染まる。
 そしてヒマワリ。夏の花の女王が咲く。昔風の女王は頭が重すぎて首を垂れ、今風の女王は長く優雅な花びらで前を向く。
 夏の花は色が濃い。同じピンクでも濃いピンク、同じオレンジでも派手なオレンジ。
 でも違うかもしれない。もしかしたら、派手なのは光なのかも。ぎらぎらした夏の光りのせいで、派手に見えているだけなのかもしれない。
 ホウセンカが種をまき散らし始めたら、夏はもう終わり。
 いつのまにか秋の花が準備を始めている。
 コスモスが、萩が、こっそり出番を待っている。
 彼岸花が咲き始めたら、いよいよ初秋。

PageTop

空が染まれば

空が染まれば


空が染まれば雲も染まる。

空が染まれば地も染まる。

PageTop

救ってくれるもの

 落ち込んだときに効く名言とか、落ち込んだときに見る映画を探す。よくすることだし、自分もする。雑誌で特集していたりすると見てしまうし、そういうブログを見たりすると覗いてしまうこともある。
 ちらりと覗くことはあるし、一人の意見ではなくて「アンケートの結果」みたいなランキング方式になっていたらつい見てしまうこともある。
 一人の意見よりアンケートを好んだり、またはいろいろな人の意見が書いてあるほうが良いのは、できるだけ広い考えを知りたいからだ。
 好みがあるので「ちょっと合わないな」と思うことは多いからだ。
 そして結局、本当に辛い時にはあまり見ない。ピンと来るもの1つに対して、ピンと来ないものを10も20も見ることになるからだ。
 何度も思うことだけれど、やはり心に響く言葉というのは、多分に状況に左右されるのだ。
 言ってくれた人の口調がよかったってことだってあるかもしれない。言ってくれた人との普段の関係によるかもしれない。
 その映画で語られた状況が、たまたま自分のと似たものだったら、共感も大きいかもしれない。
 いろいろなことで「これに救われた」と思うポイントは上がったり下がったりしてしまう。その「状況」は人それぞれ。だからあまり人の意見は役に立たなかったりするのだ。
 逆もある。
 「これがいいのか!」と思って見たから、その映画は割増でよく見えた。「これを皆はいいと言っているのか!」と思って読んだから、その言葉はなんだか効く気がした。
 もはや呪文だ。でも、それもまたよしではある。そしてこれもその人の「状況」というわけだ。
 切羽詰まっているときは、わらにもすがる気持ちになる。
 でもやっぱり、わたしに合うものは、わたしにしか決められない――。

PageTop

夕陽の空


夕陽の空は美しい。
果てもなく遠くまで、金色の光を投げかける。


夕陽の空


夕空にたたずむ光景は美しい。
何かのシンボルのように、心を惹きつける。

何の象徴?
それは見る人次第――

PageTop

距離や不足について

 この神社は縁結びで有名で、ここのお守りをもらうとすごく効くんだって。
 誰かにプレゼントされるのがいいから、自分の知らないうちに買って贈ってくれという。
 生まれてから、大学に通った4年間を除いて、ずっと縁結びで有名な神社を擁する山のふもとに住んでいたのに、未だに結婚していない彼女。ご利益が自然に漂ってきそうなくらい山裾に住みながら効かないのだから、こんな遠くの都会の神社のお守りが効くだろうか。
 そう言ってしまうと身も蓋もないので言わないけれど、そんなものだ、パワースポットなんて。
 彼女が毎日すぐそこに見ている山は、パワースポットと言われているのに。他からも人が来るというのに。どうしてよその神社のお守りが必要だろう。
 でも気持ちというのはそうは動かない。
 いつも見ているものは卑小に見える。日常でないものでないと、大きくは見えない。
 気持ちは重要だから、彼女のところの山のほうが力が強くたって、期待をかけられる遠くの神社のほうがご利益があるのだ。彼女にとっては。
 自分の持っているものより、他人のもののほうが立派に見える。自分の得より、他人の得のほうが大きく見える。他人の芝生は青く見える。
 他人の芝生は青く見える――。自分の夫はよく見えないのに、他人の男性は素晴らしく見えることがあるのと同じことだ。この人と結婚していたら、と思う。でも、じゃあ離婚してその人と結婚なぞしたら、・・・・・・今度は新しい夫に不満を抱く。
 たとえば、朝も遅く帰りも早く、休日もずっと家にいてくれる夫と、ずっと一緒に幸せに暮らしていると、不満がわいてきたり、感謝もわかなかったりする。
 でももし彼が、仕事で、あるいは他の何かで、よく家をあけなければならなかったら――。ずっといないのではなく、腹7分目くらいに一緒にいてくれる。もう少し一緒にいたい、と思うくらいに。
 そうしたらとても幸せに感じられて、出会えたことに感謝して、そして彼がもっと家にいられたらいいのにと思うだろう。
 不足を感じるということは、完全な幸せではない。でも、不足を感じないと、完全な幸せであると分からない。
 近くにあっても気づかないかもしれない。遠くのもののほうがよく見えるかもしれない。
 人間というのは業が深いものである。

PageTop

透ける光

透ける光


葉裏から透かして見る光は、
どこか秘密めいている。

PageTop

明けない夜

 つらいときについて指南している人は結構いる。インターネット上にも結構いる。
 カウンセラーとして普段から仕事をしている人、「自分はこう思う」という意見を述べている普通の人、体験者の体験談。
 「つらいときに聞いても、そんなこと言われてもと反対する気持ちしか起こらないかもしれないけど」と多くの人が言うが、今のわたしはつらくないので客観的だと思う。
 でもひねくれてはいるのかもしれない。素直な気持ちで読めないこともあった。
 「旦那が浮気して悩んでいる人には、お子さんと一緒に考えてみては、と言っている」というアドバイス。わたしは子供がいないから、一緒に考える人はいない。そういうときはどうするわけ?
 「暗い話は友達に相談したら悪いからと思うかもしれないけど、あなたの友達がもし悩んでいたらどうする? 一緒にいてあげたいと思うんじゃないかな。あなたの友達もそう思ってるよ、きっと」というアドバイス。では、ここはおためごかしを言わず正直になってしまおう。わたしはめんどくさいなって思うときもあるかもね。一緒にいてあげたいなという気持ちも湧くだろうけど、心のどこかで、時間をとられることを嫌がるかもね。ということは、わたしの友達もそう考えるだろうってこと? つまり、やっぱり相談できないってこと?
 「明けない夜はない。来年の今頃はきっと笑えている」
 ――もし、家族が不治の病だったら? これは読んだときのわたしにとって、一番納得がいかなかった言葉。
 来年の今頃は泣いているかもしれない。3ヶ月後に悲しいことがあって泣いて、来年の今頃には立ち直っているという意味にだってなるかもしれない。
 一番つらいのは、来年の今頃、進展しない状況、または悪化する状況に耐えるのが苦しくなって、早く終わりが来てほしいと思うことだ。
 まあ、これは的外れの非難だ。それは分かっている。
 ここで言う「つらいとき」っていうのは、自己嫌悪とか、仕事や人間関係がうまくいかないことだもの。
 ただ、「明けない夜」というのが、別の意味を持ってくるときも、人生にはあると悟った直後だっただけだ。

PageTop
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。