夢の海

――すべてうつろうその果てに――

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

ゲットバック

0722_0152.jpg



それでこの別世界で、
失ったはずの自分を取り戻した?

忘れてしまったはずの自分を思い出した?

「時の流れの中に、いつかの昔に落としてしまった」大切なものを、
わたしはもう一度手にしたの?

・・・・・・それは幻想。

失くしてなんかいない。忘れてなんかいない。
わたしはわたし。
過去はそんなに美しくなかった。
子供時代はそんなに完璧じゃなかった。

分かっているけど、言ってみたい。

「忙しさの中で、気がついたら大切なものを忘れてしまった」って。
かつて一度は持っていたと思いたいから、言ってみたい。

わたしは過去を取り戻した――




ゲットバック/川辺

スポンサーサイト

PageTop

暮らし

0722_0149.jpg



橋があるのだから、両側に人は住んでいて、
暮らしが成立しているはずなのだ。

こんなところに住んでいたら、
毎日はどんなふうだろう。

いつでも秘密の国に来られる。
いつでも日常を忘れていられる。

この川の近くに住んでいたら――

住んでいたら――

きっとここは秘密の国ではなくなってしまうだろうけど、
それでも思わずにはいられない。

この川の近くに住んでいたら――




暮らし/川辺

PageTop

鳥が飛ぶ

0722_0144.jpg



鳥が飛ぶ。

空がある。
雲が浮かぶ。

草がある。
川が流れる。

橋がある。
木々がすべてを隠す。

どこまでも同じ景色が続く川旅――




鳥が飛ぶ/川辺

PageTop

静寂の音

0722_0141.jpg



こんなにも静か――

水はあるのに、魚がはねる音はしない。
木々はあるのに、鳥が飛びたつ音はしない。

きっとすぐそこに人は暮らすのに、
生活の音は聞こえてこない。

風が草をなでる音だけが、
静けさをより意識させる。




静寂の音/川辺

PageTop

広がり

0722_0136.jpg



どこからも隔てられた、誰も知らない秘密の世界のはずなのに、
草はどんどん広がって、雲はどこまでも流れていく。

こんなに広い空間が、小さなひそやかな秘密の場所に
広がっているはずがない。

――だからここは魔法の世界ではないのだと、
分かっているけど無視をする。





広がり/川辺

PageTop

孤絶

0722_0121.jpg



見えるのはただ、空と雲と木々と草。

閉ざされた世界。
隔絶された世界。

どこにもつながっていない。
誰ひとり入ってこない。

外に広がる世間とは切り離された場所――




孤絶/川辺

PageTop

見知らぬ場所

0722_0104.jpg



境界を越えて、魔法の中に入ったら、
そこには世界が広がっている。

泉があったり、森があったり、
誰かが作った水路があったり。

きっとここは常若の国で、
妖精や小人の種族が住んでいるんだ――

そう思うほど別世界。




見知らぬ場所/川辺

PageTop

その先の奥へ

0722_0098.jpg



過去の自分になれるにちがいない門をくぐると、
また門がある。

いくつも門を通るほど、
いろんなものが落ちていく。

今のしがらみ、今の縛り。
生活、労働、抑圧、悲観。

門をくぐればくぐるほど、
いろんなもので満たされる。

かつてはわたしも持っていたもの。
平穏、明るさ、自由、解放。

さらに先へ、もっと奥へ――




その先の奥へ/川辺

PageTop

ゲート

0722_0080.jpg



こんな青空の下の、こんな緑の5月の日には、
あり得ない魔法がかかっているかもしれない。

自分が失ったと思っているもの、
自分が戻れないと思っているところ、
本当なら取り返せないものを、

再び手にできるかもしれない。

夕暮れの光が真実を映し出すまで、
たとえ一時でも戻せるかもしれない。

きっとあれは、そのための門――




ゲート/川辺

PageTop

境界の橋

0722_0074.jpg



あの日に帰りたい。

未来がたくさんあったあの頃。
たくさんあるのが当たり前で、
なくなるなんて心配してなかったあの頃。

両親がいて、生活の心配がなくて、
祖母がいて、いつも世話をしてくれて、
あの頃は不自由だと思ったけれど、
今から思えば何不自由ない生活だった。

あの橋を越えたら、懐かしい昔が
迎えてくれるかもしれない。

現在と過去の境界線――




境界の橋/川辺

PageTop

どうしたらいい?

0933_243.jpg


気持ちが塞いでどうしても晴れなかった。
未来に何の希望もないように感じた。救いがないように思えた。

――詳細は省くとして、そのことでわたしはとても空しい気持ちになっていた。

自分でもわかっていた。きっとこれは、早すぎる思いなのだろう、ということ。
子育てに夢中になっていれば気づかずに過ぎてしまって、子供が巣立った後になって初めて感じる老いと、老いから来る空しさのようなもの。
子育てをしていないために、夢中になって忘れている時期がなくて、一足飛びに老け込んだ精神状態になってしまったのである。
それを払しょくしてくれる子供も甥・姪もいないし、やがて孫が増えていく望みもない。

というわけで、空しさにとらわれて抜け出せずにいる。
こんなことをいちいち人にこぼすことはないが、時折、説明のために軽く伝えることはある。
たとえば何かを断るとき。永続的に続きそうな誘いのときだけだ。単発的なものは、浮世の義理でなんとかして出るのだから。
たとえばそれが体に出て、人が心配してくれたとき。わたしはよく精神的な疲れが目と喉に出ることがある。

わたしより年上の人は必ず言う。
「まだ早いわよ」「それは60を過ぎた人が言うことよ」

・・・・・・それは自分でもわかっているんですよ。

だからって、どうしたらいいんでしょう?
「元気だそうっと」と言って元気が出るなら、何も苦労は要らないのであって、もがけばもがくほど、焦りでよりがんじがらめになっていく。

そういうわけで、今はとにかく、鬱々とした気分になったらなるべく振り払うようにして、見ないふりをして、ただじっとしてるしかないんですよ。
ただもう過ぎ去ってくれることを祈って、静かにしてるしかないんです。

わたしを鬱々とさせるものからできるだけ遠ざかって。
浮かんでくる思いは、無駄に否定したり努力したりするのではなく、できるだけ見ないふりで。

でも遠ざかりたくても避けられないものもある。だって浮世には義理があるから。
見ないふりをしようとしても、何度でもしつこくつきまとう思いもある。そんな簡単には振り払えないから。

だから――どうにもしようがないんですよ。
どうしたらいいっていうんです・・・・・・

PageTop

豊かな五月

0719_0689.jpg



豊かな五月、豊かな朝。

爽やかな五月、緑の風。

楽しい五月、若葉の色。




豊かな五月/若葉

PageTop

ダンス

0719_0100.jpg



まるで若葉は、踊る、舞う。
深い空の先まで占領して。

まるで若葉は、笑う、跳ぶ。
強いライトを浴びながら。




ダンス/若葉

PageTop

0719_0788.jpg



静かに空は横たわっている。
そこに。

静かに山は座っている。
そこに。

静かに若葉は輝いている。
そこに。




静かな風景/若葉

PageTop

もうすぐ緑が

0719_0613.jpg



若葉の天蓋は少し厚くなった。
そして濃くなった。

そしてわたしたちは閉じ込められる。
もうすぐ緑が地上を閉じ込める。

緑のドームの中に地上を閉じ込める。




もうすぐ緑が/若葉

PageTop

若葉

0806_0259.jpg



ほら、もうこんなに日差しが強いんだね。

若葉はどれもこれも、光を目指しているんだね。

一心不乱に光を目指しているんだね。




若葉/若葉

PageTop

小花模様の空

0806_0253.jpg



出たての小さな葉が、空に小花模様を散りばめている。

可愛らしいスカートのような空が広がっている。




小花模様の空/若葉

PageTop

若葉たち

0719_0631.jpg



それぞれがそれぞれに天を目指す。
上へ上へ、もっと上へ――

高い木も低い木も、葉はみんな上を向いて、
もっともっと、もっと上へと――

競い合って、それぞれに天を目指す。




若葉たち/若葉

PageTop

まだ葉は小さくて

0719_0634.jpg



空を覆う萌え始めた枝々。
まだ葉は小さくて、光は全部下に差し込んでくる。

高く伸びる芽吹きだした枝々。
まだ葉は小さくて、梢に踊る光が下から見える。




まだ葉は小さくて/若葉

PageTop

ここから

0914_184.jpg



いつもここから始まる。
この小さな葉から。

いつのまにか大きく、多く、
枝が見えないほど茂る。

けど、いつもここから始まる。
この小さな緑から。




ここから/若葉

PageTop

すれちがいの会話

0932_075.jpg


私は2つの職場をかけもちしているので、どちらにも属していて、そしてどちらでもちょっと外側の人間である。
2つの職場には、やりがい的にも給料的にも差があり、わたしの中でランキングが上のほうはA、サブ的なほうはBと呼んでいる。

久しぶりに朝から行ったB。ランチに出るのが遅くなってしまった。
会社を出たところで、かつて同じチームにいたことがあり、同じ年だが相手は一応社員という人とばったり顔を合わせた。
「これからですか?」「よかったら、一緒に行きます?」

前日までAで怒涛の2週間を過ごし、今年度の山場はこれで終わり、あとは小さな仕事ばかりという日だった。
わたしはもう今年度が終わったような気持ちになっていて、そしてBなどどうでもよかった。
Bについては、もうだいぶ前から入れ込まないようにしていた。ましてその日は、自分がBにいるのが信じられないくらい、A気分から抜け切れていなかった。

最近発見したという穴場のパスタ屋に連れていってもらい、カウンターに並んで座る。

「最近どうですか?」
「最近は――」わたしは簡単に、昨日までAにいて、自分にとってはその仕事でいっぱいだったこと、終わったので今年が終わったような気がしていることを話した。

年が同じなので、同じような悩みを持っていることもある。
こういうふうに感じて気持ちが沈んでどうしても浮上できなかった、そんなとき毎週ハードなハイキングに行っていたら少し明るい心持ちに戻れた、という話もした。

以前ランニングをしていると聞いたことがあって、そのことを尋ねたら、今もしているという。
今度、海沿いを走るマラソン大会に参加することになったそうだ。
マラソンといっても、最近はハーフやクォーターなどの走りやすい部門が用意されていることが多い。
最近はワンマイルなど、さまざまな部門があるらしい。
そういうことだから、それほどの距離ではなく、海のそばを走ることを楽しみにしていると言っていた。

それから、その人は言った。「最近、どう?」
そして言い直した。「**さんと**さんは、うまくいってる?」

あ、そこですか!

わたしが属しているチームの社員の話だ。
どんな人にもいろんな評判や噂があるものだ。そういうのがこの2人にもある。

当然ながら、ランチ相手の一番の関心は職場(B)のことであり、あの人たちはうまくやっているのかしら、と気になっているわけだ。
うまくやっていなければ、それはそれで楽しい話のタネだ。

ああ、そういうことか。その話を一番にしたかったのか。

ごめんなさい、わたし、本当に今、どうでもいいです、Bのことは。
Bの経営が厳しくなって、派遣だのなんだのバサバサ切ることになったとしても、それならそれでいいかなと思うくらいなのだ。
(もちろん、給料のことがあるから、実際にそうなったら困るのだが。)

Aでの仕事や、そのほかのことでいっぱいになっている自分の思いが、ふいに空気が抜けるように思われた。

こういうことは、AとBとそこそこ入り込みながらかけもちしていると、よくある。
そのたびに乖離を感じて、少しずつ心が離れていく。

――また、離そうとするようになる。

PageTop

雪の女王

1408_775.jpg



毎年桃色の桜が終わる頃、満開になる。

いつも思う。「雪の女王」

いつも思い出す。「グリーンゲイブルズ」

りんごの木ではないけれど、
わたしにとっての「雪の女王」。

もうわたしが失い果てた感受性を、
まだ豊かに持っていた痩せた少女の命名。




雪の女王/桜と光

PageTop
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。