夢の海

――すべてうつろうその果てに――

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エメラルドディープ

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エメラルド色の海から、寄せてくる波は透き通り、
色などついていないかのように追い迫る。

それでも引いて海中に戻ると、エメラルドに戻って、
深みには違う世界があるよと語りかける。

エメラルドの彼方には、ネイビーブルーの海原、
ここには測り知れぬ深みがあるぞと宣言する。



エメラルドディープ/海


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流された木

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海の波に流され、残され、
横たわる木――

打ち上げられ、渇き、
むくろを晒す木――




流された木/海

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砂浜

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波に洗われて、砂から顔を出す海藻。

波に洗われて、取り残される貝の殻。

足元から逃げていく、こまかい砂。

波にさらわれて、逃げ去っていく白い砂。




砂浜/海

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エア

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まるで空気の中にあるみたいに、
そこには水などないみたいに、
何もさえぎらない水底の景色。

まるで裏などないみたいに、
悪いことも、隠しごともないみたいに、
何も隔てのない水中の光景。

ときどき無邪気な驚きが、
物陰から顔を出して喜ばせてくれるような、
透き通った景色。




エア/海

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水底(みなそこ)

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水底みなそこがすっかり見える、初めての海。

これまで知らなかった、開け広げの海。
明快、クリア、すべてあっけらかんとさらけ出し、
気にもしていない海。

あっけにとられてぽかんとする――




水底みなそこ/海

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見知らぬ海

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見知らぬ海が眼前にある。

まるで異国、これまでに知っていた海ではない、
見知らぬ海――

キラキラと輝いて、わたしを誘う、
見知らぬ海。




見知らぬ海/海

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言い訳

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なにしろ調子は悪かった。
体ももちろんガタが来始める年齢ではあるが、何よりメンタルが不調だった。

それはホルモンバランスの乱れや、女性ホルモンの減少が原因のひとつだと思っている。
心配ごとや、不安なことは人並みに出てくるわけで、若い頃の自分に関する悩みではないから、対処といっても難しい。
で、そこにホルモン関係の不調が影響するので、不安が増幅される。前向きな気持ちは乏しくなる。

なんでホルモンを疑うかというと、女性なら分かるのだ。それを如実に現す現象が、定期的にやってくるからだ。

しかし、誰しもいろいろな事情を抱えているもので、言っても仕方ない。
毎日を普通にやり過ごしていたが、余裕はなくなった。

人の話をゆっくり聞けなくなった。
別にアドバイスが欲しいわけではなく、ただ話を聞いてほしいときというのがある。そういうときに電話をしてきて、「今、こうするかああするか悩んでいるんだけど、こうするのってあなた経験あったわよね、どう思う?」「この間のあれ、結局こうすることにしたんだけど、そうしたらこうだったのよ。どうしたらいいかしら?」と相談する知人の話が、聞きにくくなった。
もちろん、まさか聞かないこともできないのだが、親身な気持ちになれない。

相談といっても、わたしの意見が欲しいわけではない。ただ話したいのだと思う。わたしが何か言っても、「じゃあ、そうするわ」というわけではない。しかし、どうせ意見は要らないのだろうと聞く一方にしていると、「どう思う?」と明言を求められる。
何か言われて、その意見を採用しようか迷ったり、それはできないと反論したり、その過程を全部話し合うことで、自分の考えが決まることがある。決まらなくてもスッキリはする。
――そういうことなんだろうなぁ、と思っても、許容する余裕が自分になくなっていた。

たとえば大変な時期があったとしても、今は順風満帆な時期で、いつも幸せいっぱい、未来いっぱいの話をする人につきあう余裕もない。
逆にいい時期が続いていたけど、今は苦しい時期で、相談ごともメールで返事をしても必ず電話がかかってきて、長話になる――それにつきあう余裕もない。

やれやれ、本当に自分は今、いっぱいいっぱいなのだと思った。

そういうとき、「今ちょっと自分もいっぱいいっぱいで」と言い訳しても、「何言ってるの!」という反論で終わってしまう。

「まだ若いわよ」「まだ頑張らないと」「それはあと20年経ったら言ってもいいですよ」「私も大変よ」「私なんかもそういうことはよくあるわよ」「私なんて、こうだしね」

だから言わないほうがいいけれど、良い言い訳を思いついた。
「たぶん、ホルモンバランスが乱れているんだと思うんですよ」と、不可抗力のせいにすることだ。

自分の苦しい状況の説明をしても、人生経験豊かになった世代の人たちには同情されない。「何言ってるの、私だってこんなことがあったわよ」「まだ若いじゃないの」
どうしても気持ちを上向きにすることができないんです、なんて言ったら叱咤と励まし。「まだ若いんだから。もう若くはないけど、でもそんな気持ちになるにはまだ早いわよ」

でも「うちの家系はみんな更年期が早くて――たぶん、ホルモンのバランスが乱れているんだと思うんですよ。自分ではどうにも浮上できないんです。病院に行って、ホルモン量とか調べてもらおうと思って」

すみませんがあまりお誘いいただいてもなんだか行く気になれないんですよ、とか、あまり熱心に聞いてないように思われてかもしれないけど、というような断りを入れるとき、理由を『更年期』にすると、スムーズだと悟った。
しかし『更年期』と言ってしまうと、「まだ早い」と言われてしまうので、「母も早かったし、少しずつそっちに向かっていて、ホルモンバランスが乱れ始めているのだと思う」くらいに言っておくと、受け入れられやすかった。
最後に「病院に行こうかと思っている」と付け加えると、それはもう不可抗力なので、「頑張りなさい」と強制されなくなる。

たいていは言わないけど、言う必要があるときは、これで乗り切ることを覚えてから、だいぶ楽になった――

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働く人

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こうして腰をかがめて仕事をするから、
田舎のおばあさんは腰が曲がる。

腰が曲がっても、
することがないよりは、働いているほうがいい。

何もできないのは、つらい農作業よりつらいこと。

そんな時代もあって、そんな人もいたものだ。




働く人/水田

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山ふところ

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山ふところの田は、段差ができる。

有名な景色でなくても、
無名の地でも階段状の田はできる。

ただもう静かに、稲が育つ。




山ふところ/水田

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どこまでも

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水を張った田の景色はどこまでも続いていく。

山の正面でも。
山の側面でも。
山の裏側まで車を走らせても。

この辺りのどこでも、
日本中のどこでも、
途中、海や街で途切れても。

田の景色はどこまでも続いていく。




どこまでも/水田

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小屋

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朝もやのたなびく春の田。

水栓なのか農具なのか、
何かをしまっている小屋。

水田は土地に沿ってゆっくりカーブし、
まるみを帯びた線を描いている。

朝もやは静かに動いていく。




小屋/水田

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並ぶ影

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農道に立ち並ぶ木。
まだ小さく、背も低く。

若々しい幹に若々しい葉。

大きな山陰にいだかれて、
一生懸命、水田をいだいている。




並ぶ影/水田

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映る影

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続く田んぼの端に立つ木。
足元に広がる四季の繰り返しを
どれだけ長く眺めてきたのか。

黒い土がざっくりと掘り返され、
やがて水が入り、
へなへなの小さな苗が心細げに揺れ、
やがてまっすぐそそり立つ力強い葉になり、
長く伸び、重く実って、今度は頭を垂れる。

そして一気に刈り取られて、青い切り株模様になり、
枯れ果てて株は白くなり、土は黒くなる。

また新しい一年が始まって、新しい水が張られるのを、
何回見守ってきただろう。

これから何回見続けることになるだろう。
続く田んぼの端に立つ木。




映る影/水田

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休息

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人の話がつらいときがある。

ある人は言った。「この報告書、代わってもらってもいいですか」
妊娠や妊活、出産についての報告書で、不妊治療に苦しんでいる彼女にはつらくて耐えがたいというのだった。
――付け加えておくと、彼女はその後、治療が功を奏して2人のお子さんを持った。

また別の人は言った。「今でも誰かが息子の話をしているのを聞くのは痛いんですよ」
まだ20歳を1,2年過ぎたばかりの若い息子さんを、突然亡くした人なのだ。

そういうように、わたしにとってつらい話というのがあった。
その人にとっては幸せなこと。でもわたしには、自分の心をかきみだされること。

しばらく距離をおきたいと思っても、離れられない事情があった。
無理をすれば離れられたかもしれないけれど、直接関係ないことまで犠牲にして距離をおかなければならないというのは、悩ましいところだ。なぜそこまでして? と思ってしまう。

でもある日、方策を見つけて、多少離れることに成功した。
それはほんのしばらくのことだけれど、でもわたしにとっては大切な心の休息になると思った。

1日目。心が本当に軽かった。
他愛ない話を聞いていただけだったのに、それがどんなに負担だったか、今さらながら感じた。

その日の夜、たまたまドラマを見た。
好きなドラマの新シーズンが始まって、録画している途中だったが、たまたまそこだけ見てしまった。
なんと、ラストにはチームのメンバーが、不本意な異動になって去ってしまうのだった。
驚いて最後まで見てしまった。ちゃんと最初から見るために適当に消そうと思っていたのに。

異動するメンバーのナレーションが流れる。
「すべてはレッスンです。嫌なことでも受け入れなければ。知りたくないことも学ばなければ」

わたしはその日、解放感を味わっていたので、素直に聞くことができた。
そうだな、と思った。

でも、もう少し後でもいいよね。
しばらくは距離をおいて、心を修復する時間をもらってもいいよね。
きっと自分を抑えて、人の幸せに、ふりだけでも喜べる日がくるから。
――今もそうしてるけど、きっともっと楽に、ふりができる日がくるから。

そしてテレビを消した。

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帰途

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魔法と現実のはざま――

境界の橋を渡って、帰途につこう。

帰りは口数少なく、静かにいこう。




帰途/川辺


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探索の終焉

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もう終わりだね。探索も。

トリップも。夢を見るのも。

もう帰るしかないね。ここまで来たら――




探索の終焉/川辺

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草原

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風がそよぐ。

雲を流し、草をなびかせ、木々をざわめかせる。



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丘には無数のささやき。

草が、草の間の虫が、木々の間の鳥たちが。

風の力を借りて何かを語りかける。

わたしには判別できない何かを――




草原/川辺

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声なき声

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きっと彼らは姿を変えられた誰かなのだ。

おとぎ話に出てくる騎士たち、村人たち、ねずみかも?

何かを伝えようと一生懸命話しかけてくるけれど、
わたしには聞こえない。理解できない。

きっと教えてくれているのに――
危険を避けるすべを。
罠に陥らないまじないを。

それが分かったら、きっとわたしは
現実に帰っても自分を保っていられるのに――




声なき声/川辺

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クロスライン

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魔法と日常が交わるライン――

夢と現実が交差するライン――



クロスライン/川辺

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人の世界

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魔法はいつか解ける。

これは人の世界。
人の世界、人の暮らし、人の文明、人の利器。

ああ、少しずつ、戻ってきたね――




人の世界/川辺

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希み

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やはりそこに何かがあるのだ。
思い出の一ページにこの場所が刻み込まれれば、
心の中でここに戻るたび、わたしは浄化される。

記憶の中でわたしは、何度でも洗い流される。

そして生まれ変わる。

そう希う――




希み/川辺

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新しい世界

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たとえそれが欺瞞でも、
このささやかな世界に浸っていたい。

今、自分は生まれ変わっている、
自由な自分を取り戻している。
自分の人生に、新しい世界が始まった――

たとえそれが欺瞞でも、
この短い解放に浸っていたい。




新しい世界/川辺

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秘密

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流れのない水たまり。
小さな沼のように、さざなみひとつなくそこにある。

暴いてはいけない秘密が隠されている。

しー、静かに立ち去ろう。

ここには秘密が隠されている。

何も変わってない。
今自分は変わったように感じているだけ。
生まれ変わったように感じているだけ。

実は何も変わっていない。
日常に戻れば、それが分かる。

ああ、だめだめ、知らないうちに立ち去ろう――




秘密/川辺

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